セパタクローの競技人口の実態!普及の課題と競技の魅力を紹介

セパタクローは「足のバレーボール」とも呼ばれる東南アジア発祥のスポーツで、独自のルールやダイナミックなプレースタイルが特徴です。
競技人口はどのくらいなのか、日本や世界でどれほど普及しているのか気になる人も多いでしょう。
本記事ではセパタクローの競技人口の現状や発祥の地、ルールの解説をはじめ、ネットの高さやプレーする人数といった基本情報を詳しく紹介します。
また、歴代の日本代表選手や日本は世界ランキング何位なのか、そして強い国はどこなのかについても触れ、競技の魅力や国際的な立ち位置を解説します。
セパタクローに興味を持っている方や、これから始めたいと考えている方にとって、役立つ情報を網羅しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
- セパタクローの競技人口の現状と日本・世界での普及状況
- セパタクローの発祥の地や歴史的な背景
- 日本のセパタクローの世界ランキングと強豪国の実力
- セパタクローの基本ルールやネットの高さ、プレーする人数
セパタクローの競技人口や発祥の地について
- セパタクローの競技人口は増えている?
- 発祥の地はどこ?
- 日本は世界ランキング何位?
- 強い国はどこ?
- 歴代の日本代表選手は誰?
セパタクローの競技人口は増えている?

イメージ画像:チヨコスポーツ
セパタクローは世界的に見ると競技人口が約5万人程度で、徐々に増加傾向にあるもののまだ発展途上のスポーツです。
特に東南アジアでは人気が高く、マレーシアなどでは国際大会が開催されるほどです。
一方、日本では競技人口が約2,000人程度とされ、認知度はまだ低いのが現状ですが少しずつ広がりを見せています。
普及が進んでいる理由の一つに、国際大会の開催が挙げられます。
アジア競技大会などの国際的な舞台で注目されることにより、競技の魅力が広がっています。
日本国内でも2022年2月に「ES LEAGUE」というセパタクローの国内リーグが発足し、競技環境の整備が進められています。
また、全日本選手権には50を超えるチームが参加するようになり、競技の裾野が広がりつつあります。
ただし、競技人口の増加には課題もあります。
セパタクローは高い身体能力と柔軟性を求められるため、初心者にはハードルが高く感じられることが多いです。
また、専用コートや練習環境が整っていない地域も多く、競技を始めるまでの敷居が高いことも影響しています。
これらの課題に対応するため、関東圏では月1回程度の初心者向け講習会が開催されるなど、認知度向上と普及のための取り組みが行われています。
さらに、2026年には愛知県で世界大会が開催される予定であり、同じく愛知・名古屋で開催されるアジア競技大会を契機に、競技の認知度向上が期待されています。
今後、競技人口をさらに増やすためには、こうした大会や体験イベントを通じた認知度向上の取り組みを継続し、学校教育への導入なども検討していくことが重要となるでしょう。
発祥の地はどこ?
セパタクローの発祥については、複数の説が存在します。
一般的には東南アジアで誕生したスポーツとされており、特にタイ、ミャンマー、マレーシア、インドネシアなどで発展してきました。
タイでは16世紀末から17世紀初頭のナレースワン王(1590-1605)の時代にまで遡る記録があり、王族の娯楽として発展したとされています。
マレーシアでは15世紀のマラッカ王国の歴史書「スジャラ・ムラユ」(マレー年代記)に、現在のセパタクローに似た競技の記述があります。
ミャンマーでは「チンロン」と呼ばれる類似の競技が約1,500年の歴史を持つとされ、インドネシアでは「ラガ」という名称で知られ、特にスラウェシ島のブギス族の間で伝統的に行われてきました。
フィリピンでも「シパ」という類似の競技が存在し、スペイン植民地時代を経ても存続しました。
また、中国の蹴鞠(キュウジュ)が商人によって東南アジアに伝えられ、各地で独自の発展を遂げた可能性も指摘されています。
現代のセパタクローの基礎は、1945年2月にマレーシアのペナンで形成されました。
ハミド・ミディンが、バドミントンのネットとルールを取り入れた新しいバージョンを考案しました。
その後、1960年にマレーシア、シンガポール、タイ、ミャンマーの代表者がクアラルンプールで会合を持ち、競技の標準化が行われました。
1965年の東南アジア競技大会で初めてメダル競技として採用され、この時に「セパタクロー」という名称が正式に決定されました。
これにより、それまで国や地域ごとに異なる形でプレーされていた競技が、統一されたルールのもとで国際的なスポーツとして確立されました。
このように、セパタクローは東南アジア各地で独自に発展した伝統的な競技が、20世紀中頃に統一されて現代のスポーツとなった、豊かな文化的背景を持つ競技だと言えます。
日本は世界ランキング何位?

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日本のセパタクローは、世界的には発展途上ですが、アジアでは一定の競争力を持っています。具体的な世界ランキングは不明ですが、いくつかの国際大会での成績から日本の立ち位置を推測することができます。
2022年のアジア競技大会では、日本の男子チームがレグ種目で5位に入賞しました。これは、アジアの強豪国に迫る実力を示す結果と言えるでしょう。また、ISTAF World Cupの総合メダル獲得数では、日本は9位タイで銅メダル1個を獲得しています。この成績は、日本が世界レベルでも一定の存在感を示していることを表しています。
しかし、ISTAF SuperSeriesの男子トーナメントでは、日本はメダル獲得国のリストに入っていません。これは、世界トップレベルの国々と比べるとまだ差があることを示唆しています。
日本がさらなる飛躍を遂げるためには、競技人口の拡大や育成システムの強化が必要となるでしょう。また、国際大会への積極的な参加や、強豪国との交流を通じて経験を積むことも重要です。
今後、日本のセパタクロー界が着実に成長を続け、世界ランキングでより上位に食い込んでいくことが期待されます。
強い国はどこ?
セパタクローの国際競技シーンは、近年大きな変化を遂げています。長年にわたりこの競技を牽引してきたタイは、依然として強豪国の一つですが、その絶対的な優位性は揺らぎつつあります。
台頭するマレーシア
最も注目すべき変化は、マレーシアの急速な台頭です。2024年のワールドカップでは、マレーシアがタイを破って優勝を果たし、ダブルスとトリオの両種目で金メダルを獲得するという歴史的な快挙を成し遂げました。この結果は、セパタクロー界に大きな衝撃を与え、競技バランスの変化を示しています。
タイの現状
タイは依然として強豪国の地位を保っていますが、以前のような圧倒的な強さではなくなっています。しかし、豊富な経験と国内での競技普及により、今後も主要な競争相手であり続けるでしょう。
その他の注目国
ミャンマーも強豪国の一つとして認識されていますが、最近の大会での成績は限定的です。2024年の第37回キングスカップでは、女子フープタクローで銀メダル、混合クアドラントで銅メダルを獲得しています。
フィリピン、インドネシア、ベトナムなども競技力を向上させており、今後の大会で注目される可能性があります。
日本の位置づけ
日本のセパタクロー界は発展途上にあります。2018年のアジア競技大会で男子チームダブルスでフィリピンに勝利するなど、一定の成果を上げていますが、世界トップレベルとの差は依然として大きいのが現状です。
今後の展望
2024年からは新しいランキングシステムが導入され、国際大会の参加資格や競技力の評価方法が変わる可能性があります。2025年のアジアカップには15カ国が参加を表明しており、世界チャンピオンのタイを含む多くの国が競い合うことになります。
各国の競技力向上により、セパタクロー界の競争はさらに激化すると予想されます。今後は、技術向上や戦術の練磨を進め、新たな強豪国の出現や既存の強豪国間の力関係の変化が期待されます。
歴代の日本代表選手は誰?

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日本のセパタクロー代表選手には、多くの優れたプレイヤーが名を連ねています。
歴代の代表選手を紹介しながら、日本のセパタクロー界の発展について説明します。
男子代表選手
日本男子セパタクローを長年にわたり支えてきた選手として、寺本進選手と寺島武志選手が挙げられます。
寺本進選手は1976年生まれで、2002年釜山、2010年広州、2014年仁川のアジア競技大会で銅メダルを獲得しました。
寺島武志選手は1982年生まれで、2010年広州から2023年杭州まで、複数のアジア競技大会で銀メダルや銅メダルを獲得する活躍を見せています。
また、矢野順也選手(1975年生まれ)も1998年のバンコク大会から2018年のジャカルタ/パレンバン大会まで、長きにわたり日本代表として活躍しました。
近年では、高野征也選手がトサー(フィダー)として、内藤利貴選手と佐藤優樹選手がアタッカーとして代表チームで重要な役割を果たしています。
高野征也選手は、正確なトスを供給し、チームの攻撃を支える重要な存在となっています。
女子代表選手
女子セパタクローでは、2010年の広州アジア競技大会に出場した矢野千春選手、佐藤雪絵選手、益子梓選手らが日本代表として名を連ねています。
彼女たちの活躍は、日本の女子セパタクローの成長を牽引する重要な一歩となりました。
日本セパタクローの発展
これらの代表選手たちは国内外での経験を積みながら技術を磨き、日本のセパタクロー競技のレベルを押し上げてきました。
特にアジア競技大会での度重なるメダル獲得は、日本のセパタクロー界にとって大きな励みとなっています。
今後もこれらの選手たちの経験や技術が若い世代に受け継がれ、日本のセパタクロー界がさらなる飛躍を遂げることが期待されています。
セパタクローの競技人口とネットの高さやルール
- 簡単なルールの解説
- ネットの高さはどのくらい?
- プレーする人数は何人?
- ボールの大きさや素材は何?
- ボールの作り方
簡単なルールの解説

イメージ画像:チヨコスポーツ
セパタクローはバレーボールと似たルールを持つスポーツですが、手や腕を使わずに主に足や頭でプレーする点が大きな特徴です。
試合は3人1組のチーム(レグ)同士で行われ、ボールを3回以内で相手コートへ返すことが基本となります。
得点は、相手のコート内にボールを落とした場合や、相手がルール違反をした場合に入ります。
2024年2月1日からの新ルールでは、1セット15点のラリーポイント制を採用しています。
14-14の同点の場合は、17点先取で勝利となります。
試合は5セット制(3セット先取)が基本ですが、大会によっては3セット制(2セット先取)の場合もあります。
サーブは1本交代制で行われ、ネットを越えて相手コートに入れる必要があります。
また、バレーボールとは異なり、サーブごとのポジションローテーションはありません。
各レグは1セットにつき1回のタイムアウトを取ることができ、選手交代は1セット2回までで出戻りが可能です。
攻撃面では、アクロバティックな技が多く使われ、特に「シザース」や「タップ」などの技術が試合の見どころとなっています。
これらの新ルールにより、試合展開がより速くなり、1点1点の重要性が高まっています。
セパタクローはその独特のプレースタイルと戦略性により、観戦者を魅了する興奮あふれるスポーツとなっています。
ネットの高さはどのくらい?
セパタクローのネットの高さは、バドミントンとほぼ同じ基準となっています。
男子の試合ではネットの高さが1.55mに設定され、女子の試合では1.45mとやや低めに調整されています。
この高さ設定により選手は高く跳び上がってボールを蹴る必要があり、空中でのダイナミックなプレーが求められます。
特にアタック時にはネットを越える高さまで足を上げる必要があるため、柔軟性やジャンプ力が重要な要素となります。
また、サーブやブロックの際にもネットの高さが影響し、相手の攻撃をどのように防ぐかが戦術の鍵を握ります。
そのため、選手は高さを意識したトレーニングを積み、最適なプレースタイルを身につけることが求められます。
プレーする人数は何人?
セパタクローの試合は、基本的に1チーム3人の選手で構成されます。
これを「レグ」と呼びます。
試合は3対3で行われ、コート上での選手の配置は「バック(後ろ)」「レフトインサイド(前方の左側)」「ライトインサイド(前方の右側)」が一般的です。
各選手には主に以下の役割があります:
- サーバー:試合開始時にサーブを蹴る役割
- トサー:味方の攻撃をサポートするためにボールを正確に上げる役目
- アタッカー:相手コートへ攻撃的にボールを蹴り込む役割
これらの役割は固定ではなく、状況に応じて選手間で交代することもあります。
その他の試合形式
3人制(レグ)が最も一般的ですが、他にも以下の形式があります:
- 2人制(ダブル)
- 4人制(クワッド)
- 団体戦
ただし、公式戦では3人制が主流です。
セパタクローではポジションごとに異なるスキルが求められるため、各選手が自分の役割を理解し、チーム全体で戦略を立てることが勝利への鍵となります。
選手同士の連携が非常に重要な要素となるこのスポーツでは、個人の技術だけでなく、チームワークも勝敗を左右する大きな要因となります。
ボールの大きさや素材は何?
セパタクローで使用されるボールは、競技の特性に合わせて独自の設計が施されています。
現在の公式ボールは、合成繊維で一層に編まれた球形のものが主流となっています。
また、最新の規則では合成ゴムや柔軟で耐久性のある材質でカバーされたボールも認められるようになりました。
サイズと重量
ボールのサイズは男子用と女子用で若干異なります。
- 男子用:
- 円周:41〜43cm
- 重量:170〜180g
- 女子用:
- 円周:42〜44cm
- 重量:150〜160g
女子用のボールの方が若干大きくて軽いのが特徴です。
この差異により男子の試合ではよりスピード感のあるプレーが、女子の試合ではコントロールしやすいプレーが実現しやすくなっています。
ボールの構造と特徴
セパタクローのボールは、以下のような特徴を持っています。
- 弾力性と耐久性を兼ね備えた設計
- 空気抵抗を最適化する構造
- 足での扱いやすさを考慮した表面加工
これらの特徴により、プレイヤーは精度の高いキックやトスを行うことができます。
また、激しいアタックや長時間のプレーでも形状を維持しやすい仕様となっています。
歴史的変遷
かつてはラタン(籐)製のボールが使用されていましたが、耐久性や均一な品質を確保するため、現在では合成素材が主流となっています。
この変更により、ボールの性能が向上し、競技レベルの向上にも貢献しています。
メンテナンスの重要性
ボールの状態はプレーの質に直結するため、適切なメンテナンスが重要です。
使用するうちに弾力が弱まる可能性があるため、公式戦では規定の基準を満たしたボールが使用されます。
このようにセパタクローのボールは競技の発展とともに進化を続けており、プレイヤーのパフォーマンス向上と安全性の確保を目指して改良が重ねられています。
ボールの作り方
セパタクローのボールは、独特の製造工程を経て作られ、競技の特性に適した仕様になっています。
以下に、その詳細な作り方を説明します。
材質と構造
かつては天然の籐(ラタン)を使用していましたが、現在では耐久性を向上させるためにプラスチック製や合成繊維(ケブラーなど)が主流となっています。
ボールは球面を20面体に分割した構造を持ち、12の穴と20の交点が特徴的です。
製造工程
- 材料準備:均一な幅と厚さの細長いプラスチック製のひもや合成繊維を用意します。
- 編み込み:主に機械を使用して、特定のパターンでひもを編み込んでいきます。この過程で20面体構造が形成されます。
- 手作業での調整:機械での編み込み後、職人が手作業で細かな調整を行います。
- サイズと重量の調整:
- 男子用:直径13-14cm、重さ170-180g
- 女子用:直径12-13cm、重さ150-160g
- 品質検査:耐久性を高めるために、圧力テストや弾力性の確認が実施されます。
- 承認:国際セパタクロー連盟(ISTAF)の承認を受けたボールのみが公式試合で使用できます。
ボールの重要性
プレイヤーにとって、ボールの品質はプレーの精度を左右する重要な要素です。
そのため、適切な管理やメンテナンスが求められます。
このようにセパタクローのボールは精密な製造過程を経て作られ、競技の特性に合わせて設計されています。
その独特の構造と品質は、このスポーツの魅力の一つとなっています。
また自分で手作りボールを作ることも可能です。
作ってみたい方はこちらの動画を参考にしてみてください。
セパタクローの競技人口の現状と今後の展望
- セパタクローの競技人口は世界で約5万人、日本では約2,000人
- 日本の競技人口は増加傾向にあるが、まだ発展途上
- 東南アジアでは人気が高く、特にタイとマレーシアで盛ん
- 日本国内では「ES LEAGUE」の発足により競技環境が整備されつつある
- 全日本選手権には50を超えるチームが参加する規模に成長
- 2026年の愛知県での世界大会開催により認知度向上が期待される
- 競技普及のために関東圏で初心者向け講習会が定期開催されている
- 競技の魅力はアクロバティックなプレーとスピード感
- 高い身体能力と柔軟性が求められ、初心者にはハードルが高い
- セパタクローの発祥は複数の説があり、東南アジア各地で発展
- タイ、ミャンマー、マレーシア、インドネシアが発祥を主張している
- 日本の世界ランキングは中堅クラスで、アジアでは一定の実力を持つ
- 競技の強豪国はタイとマレーシアで、近年マレーシアが台頭している
- 日本の代表選手は国際大会でメダルを獲得する実績を持つ
- 競技人口を増やすためには学校教育への導入や体験イベントが鍵となる